今回は心理学用語である「心理的リアクタンス」の観点で、ストレスフルな職場でのメンタルの保ち方について、見ていきたいと思います。
職場には色々なタイプの上司がいると思いますが、ストレスの原因となりやすいのが、「厳しい職場」ですよね。
これは上司に限らず同僚や顧客、中には部下も含まれる場合もあると思います。
しかし、よく飛び交う言葉にこんなものがあると思います。
・厳しい先輩は自分のために言ってくれている
・言い方はきついけれど本当は良い人
・上司は期待しているから、ここまで厳しく言うんだよ
これらは本当なのでしょうか。
実際、そういう言葉を信じて「自分が悪い」と抱え込んでしまい、メンタル疾患に繋がってしまうケースも多いでしょう。
「自分の為に言ってくれる」は本当か?
厳しい環境の受け止め方というのは、重要なテーマだと思います。
今回は、「自分の為に言ってくれる」と騙されないように必要な考え方について紹介したいと思います。
筆者は10年ほどシステムエンジニアの経験をし、その中で2社の企業と7つの配属先を渡り歩いた経験があります。
その中で、パワハラや過重労働などを経験をした実体験に基づいて解説していきます。
「正当な忠告」を見極める
もちろん、中には自分のために忠告をしてくれる場合もあります。
しかし自分の経験上、正当な忠告はかなり少ない割合だと思っています。
実際には「怒りたくて怒っていたり」、「自分のコントロール下におきたくて厳しい態度を向けたり」している人を見てきた経験が多々ありました。
そこで、必要以上に自分を責めないために必要な考え方について、心理学も活用しながら見ていきたいと思います。
「自分に甘く他人に厳しい」人間は信頼してはいけない
上司に限らず、職場には4種類のタイプの人間がいます。
・自分に厳しく、他人にも厳しい
・自分に厳しく、他人に甘い
・自分に甘く、他人に厳しい
・自分に甘く、他人にも甘い
この中で明らかに問題があるのは、「自分に甘く、他人に厳しい」ーいわゆる外寛内明なタイプです。
例えば、他人の失敗にはめくじらを立てて怒るのに、自分の失敗には寛大であったりするタイプです。
人間、完璧ではない生き物です。
もちろんその非完璧性に甘んじる訳にはいきませんが、他人に厳しくする以上、自分にはそれ以上厳しくする必要があると思います。
他人に厳しいだけの人間は「テイカー」である
自分には厳しくせず、他人に要求ばかりの人間はいわゆる「テイカー」とも言えます。
テイカーというのは他人に要求ばかりで、自分から他人にギブをしないタイプの人間で、これは、グラント氏の著書『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』で定義されています。
他人に厳しく自分に甘い人間というのは、他人を精神的な意味で搾取するテイカーと言えるでしょう。
そのような精神的搾取に飲み込まれず、自分の尊厳を守る権利は誰にでもあります。
自他共に厳しいタイプも、信用できるとは言えない
上司や同僚の中には、他人に厳しいけど自分にも厳しいタイプもいます。
中には相手が仕事を完璧にこなすタイプの場合、厳しく指導されると自分が悪いと思ってしまうこともあるでしょう。
この自他共にに厳しい上司や同僚に、アメとムチを使ってくるタイプが多いと実体験で感じています。
「アメとムチ」は、どちらかというとポジティブな意味で言われる気がします。
しかし、これは本当でしょうか?
私の意見としてはNOです。
なぜなら
・相手をコントロールしたい魂胆が見える
・元来は政治的な手法で、科学的アプローチではない
という理由です。
アメとムチは元々ドイツ帝国時代に、時の宰相が民衆の社会主義運動を弾圧するために行われた手法です。*1)
そこに科学的アプローチや根拠はなく、「悪いこともあるけど良いとこともある」と大衆を洗脳させるために執り行われたものです。
こういう思想で管理者はマネジメントしている気になれるかもしれませんが、管理される方にとっては悲惨です。
「本当は自分だって主体的に動きたい」に耳を傾ける
心理的リアクタンスとは?
人間には本来、自律的に動きたいものです。
これは心理学においては、「心理的リアクタンス」と表現されます。*2)
これは人間には自分の行動や選択を自分で決めたいという欲求があり、これが脅かされると抵抗意思が生じるというものです。
たとえ仕事においても、人間性を軽視して良いということにはなりません。
仕事は人がベースであり、それなしで組織が持続可能とは言えません。
人間の性質である心理的リアクタンスが意味するのは、だれでも主体的・自律的に行動する才能があるということです。
そして、相手の尊厳を無視してコントロール下に置く手法では、当人の可能性は閉ざされたままです。
もちろん仕事の能力が優れている上司が、部下へ正しい事を指導することはあるでしょう。
しかしそれは、
相手の意思と人権を尊重しつつ、能力を伸ばしていくのが上司の仕事であり、コーチングの本質とも言えます。
厳しい相手には厳しい目を持って評価する
今回は、厳しい上司の対処法として記事を書きました。
総じて言えるのは、
相手が自分をコントロールしようとしているのかどうかを見極めることがポイントとも言えるでしょう。
相手が厳しい上司であるならば、あなたも上司を厳しい目で評価するべきです。
相手が仕事ができる or 能力が高いからといって、自分の人権を放棄して良い理由にはなりません。
たとえ他人に厳しい相手でも、自分の為に言ってくれていると必要以上に自覚しなくて良いのです。
そして、その為にも心理学は必要だと思うのです。
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