なぜ、現代日本は病みやすいのか? ー失われた30年が我々に与えた影響ー

社会

昨今のコロナ情勢の中、国内の閉塞感はより高まり、ストレス度合いも増してきていると感じます。
事実、コロナ渦になってからうつ病の割合も増えています。*1)

今回は、精神疾患や社会人経験を10年した筆者が、
現代社会に思う所とこれからの時代を生き抜く意識について語りたいと思います。

従来から続く日本の劣悪な労働環境

安倍政権で行われた働き方改革により、日本の労働環境は是正されてきました。
しかしながら、改革はまだまだ途上だと感じます。

事実、ニュースやSNSでも、パワハラや長時間労働などの問題が相次いでいます。
例えば、福島労働局が行った労働調査によれば、1000事業所のうち実に7割以上の事業所で長時間労働などの法令違反が確認されたことが分かっています。*2)

パワハラ防止法はできたものの、未だ罰則規定はありません。
また、長時間労働に関しても、36協定により単月で100時間未満の時間外労働なら可能になっているのが現状。

日本の労働環境の悪さは今に始まった話ではなく、昔から問題になっていました。
しかしここ最近では、経済不況や雇用環境の変化、災害など様々な問題が降りかかっています。

我々に必要なのは現状を認識し、「周りに振り回されず、自分を大切にして生きること」ではないでしょうか。

日本の労働環境の変化 ー新自由主義と格差ー

上で触れたように、日本には未だ様々な労働問題が存在しています。

  • 長時間労働
  • ハラスメント
  • 不当人事

現状はそういった問題が充分に改善されないまま、
逆に日本型雇用・経済環境の良いところ(↓)も崩壊、もしくは崩壊しかけています。

  • 終身雇用
  • 年功序列
  • 経済成長

加えて、国民負担率(税と社会保障の負担)は10年前より10ポイントも上昇し、47%と半分近い水準です *3)
しかしながら、日本人の所得は上がらず、近年では物価高による生活苦も増えています。

さらに日本の失われた30年の間に、欧米の新自由主義が国内に浸透してきました。
新自由主義とは、国家による社会福祉を縮小して財政を健全化し、市場競争を促して経済を大きくしていくという考え方です。*4)
要は、企業や個人に対する保護を減らして競争を促し、経済発展を実現するという考え方

一見良さそうですが、
特に労働者とっては弊害も大きく、また、新自由主義による経済発展は日本では実現されなかったという点があります。

  • 労働市場の自由化
    労働派遣法の改正のように、様々な業界で低賃金の派遣労働を可能にする政策が実行された。
    企業は人件費の削減という恩恵を受けるが、労働者にとっては厳しい政策となった。
    日本人の平均所得は下がり、リーマンショック後の不況では、派遣切りや就職難が問題となった。
  • 社会保障の削減
    高齢化社会も合間って国の社会保障負担が増えているのが問題になっている。
    社会保障を削減するために、例え貧困に陥っても「自分でなんとかするべきだ」という自己責任論が要求される。
    例えば生活保護の補足率は、2割以下と他の先進国と比べて明らかに低い水準である。*5)
  • 成功至上主義
    自己責任論と関連するが、努力して成功した人のみが承認されるという風潮。
    メディアでは成功者がもてはやされ、成功できなかった人間は「努力が足りない本人が悪い」と片付けられてしまう。
    しかし、努力できるかどうかは遺伝や個人の生育環境にも左右されるのが事実。
    努力しても成功できる保証もない(努力すれば成功確率は上がるが、確実ではない)

加えて近年では地震・水害・パンデミックといった災害が相次いでおり、今後は特に南海トラフや首都直下地震などの地震・津波災害が心配されています。
特に、新型コロナの自粛生活・マスク生活は精神的負担も大きいです。

日本の労働問題や強い同調圧力社会は、高度経済成長期も当然ありました。
しかし、当時は将来に希望があった。災害も少なかった。
今は日本社会の悪い側面がまだ根強いまま、諸問題が何重苦にもなっている状態です。
個人に与える影響は計り知れません。

病んでしまうのも当然です。
むしろ、こういう時代情勢でも普通に仕事や家事育児をしている自体が素晴らしいことです。
認めてもらえない世の中ですが、皆、余裕が無いから攻撃的になっているのかもしれません。

そして、我々は明らかに悪くなっている社会の現状を理解し、自己投資と自己防衛を意識して生きていく必要があると思うのです。

これからを生き抜く

では、どうすれば良いのか?

「自分の時間と生活」を第一に守っていく

まずは「現状を認識すること」そして「不要な苦労を止めること」なのだと。
他人のために必死で働いても、報われる保証はありません。
これだけ大変な時代なのだから、周りに意図的な迷惑をかけない限り、自分を第一にして何も問題はないのです。
少しでも、自己犠牲的な行動は減らすべきです。

自分が満足いく時間を過ごし、少しでも楽しい人生にできれば良いはずです。
こういう情勢だからこそ、自分を大切にして良い理由づけができると思います。

競争社会で生まれる嫉妬を減らす

他人の成功にできるだけ嫉妬しないことも必要でしょう。
嫉妬というのは、
「努力しているはずなのに、同じように成功できない自分は無能だ」と自分を卑下してしまうことから始まると思います。

しかし、個人差というものがあるのです。
努力の資質・仕事の才能・生育環境・メンタルの強さ・運、etc..
こういった個人の努力ではどうにもならない要素が多いのです。

成功の機会は平等ではないのだから、他人と比べる必要もないはずです。
むしろ、成功して他人を見下すことが問題で、そういう人は一時的には良くても、長期的には信頼されません。

時代情勢をモチベーションに変える

前向きな捉え方も必要でしょう。
こういう時代だからこそ、生き抜くモチベーションが高くなります。

従来のようにレールに乗って、従順に生きていれば良い時代ではなくなりました。
そういう環境的圧力を、生き抜く術を身につけることに利用すれば良いのだと思います。
そうやって得た生身の経験は、今後の糧となりより若い世代にも伝えていけるものになるとと思います。

リンク

*1) [東洋経済オンライン] 国内の「うつ」は17.3%コロナ禍で割合増の深刻
https://toyokeizai.net/articles/-/460203

*2) [福島 NEWS WEB] 県内の7割以上の事業所で法令違反 福島労働局調査
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20221003/6050020320.html

*3) [ニッセイ基礎研究所]国民負担率は過去最高を更新-高齢化を背景に、今後もさらに上昇するか?
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=70728?site=nli

*4)[日本総研]新自由主義
https://www.jri.co.jp/column/medium/shimbo/globalism/

*5)[ameba times]誹謗中傷を恐れ窓口にたどり着けない困窮者も…生活保護への無知・誤解がはびこる日本社会 「コロナ禍の今こそ国は情報発信を」
https://times.abema.tv/articles/-/8629768

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