今回もゆるく哲学系の記事です。
ストレス社会と言われる昨今、いかに自分のメンタルを守るかは大きな課題です。
自身の経験も踏まえると、結局のところ自分の身は自分で守るしかないと強く思います。
しかしそうは言っても、中々思い通りにならないのが現実。
みんなそこで悩んでしまうのだと。
メンタル疾患は、真面目で責任感が強く、思い込みやすいタイプの方がなりやすいと聞きます。
大変な状況下で、頑張りすぎる性格を押し殺しながら健康を管理するのは至難の業です。
「自分を救うことは他人を救うことになる」という言葉が好きなのですが、
そう考えられると納得がいきやすいかもしれません。
そこで、そう考えて良い理由・根拠について、話していこうと思います。
自己犠牲では「お人好し」で終わってしまう
自己犠牲的に人に尽くしてしまうと、行き詰まりになっていきます。
仕事にしても、家庭にしても、友人関係にしても。
自分の身を不健康にしてしまうだけでなく、他人もダメにしてしまいます。
なぜなら、自分に対して依存的にさせるからです。
だからまずは、自分を救うべきと思うのです。
「シャンパンタワーの法則」というものがあります。
これは幸福のイメージを、シャンパンタワーに見立てたものです。
幸せというのはまずトップにある「自分」を満たし、その上で家族 → 「友人」「職場」 → 「社会」という順序で、シャンパンが溢れていくという形です。
自分の幸福を満たし、そこから溢れ出る余裕を他人の幸福に使う。ー というのが本来の幸福になります。
これを支持するデータや哲学もあります。
職場でも「幸福感」は伝染する
例えば、職場の幸福度について研究を行なっているパーソル総合研究所では、幸福感が組織と個人感で相互に作用することを確認しています。*1)
そして、幸福度が高まることで、仕事に対するやる気(エンゲージメント)や、責任感(コミットメント)を高め、成果につながることも示しています。
「はたらく幸せ実感」は、「ワーク・エンゲイジメント(仕事に対するポジティブで充実した心理状態)」や「組織コミットメント(組織への愛着や帰属意識)」を高める先行要因となっており、両者を媒介してパフォーマンスやポジティブな行動を促進しているという因果関係が分析から確認できました。
パーソル総合研究所 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/well-being/
ベンサムの功利主義
ベンサムという哲学者が掲げている「功利主義」は、個人の幸福度が上がることで、社会全体の幸福度も上がることを示しています。*2)
一人が幸福を独占するのではなく、より多くの人に幸福が行き渡ることで、社会全体が幸福にあるということです。
だからこそ、幸福を増進する行動であれば、その行為は正しいという理論になります。
働けなくても、消費や奉仕活動で社会の役に立てる
この考え方は、色々な境遇の人にも当てはまると思います。
例えば、病気で働けない人の場合。
病気で働けなくて、国や社会保険からの手当などで生活していても、「消費」をしていれば誰かを助けることになります。
生きている以上、消費活動は必要です。
特に今の日本のように、不況が続いている社会では、供給不足(モノやサービスなどの生産の不足)より、需要不足(お金を使う「買い手」が少ない)が問題になっています。
働いていない平日は、働いている人より消費活動を行うことができます。
社会から経済的支援をきちんと受ける事で、消費をする。 ー それが、誰かの収入につなげることが可能になります。
これは経済学者のケインズも言っていたようです。
経済的支援を自己責任と思って受けないと、貧困に陥ることで精神が荒廃してしまいます。
それがやがて、社会秩序の悪化の一端をになってしまう可能性にもなります。
また体が動ける場合は、ボランティアのような奉仕活動をするのもアリです。
自分も行っていますが、ボランティアは、行政や民間企業のサービスの手の届かないところを無償で行う所に価値があります。
このように、今の社会においては、労働以外にも他人の役に立てる手段はあるのです。
自己犠牲に陥らない方法
もちろん「そうは言っても中々…」と思う方も多いでしょう。
「考え方はわかるけど、具体的な解決方法は?」という疑問もあると思いますので、方法を紹介したいと思います。
それは、
『他人に支援してもらいたい問題を把握しておく』です。
どういう事かというと、
家族や職場で、頼み事をされ断れないことは良くあると思います。
それに快く応えて他人を支援できるというのはとても素晴らしい個性です。
しかし、その優しさに甘えてしまうのが人間。
そうならないためにも、「他人にやってもらいこと」「他人に支援してもらいたい問題」を把握しておきます。
そういう
「依頼したい問題」を適時、他人に依頼することで、win-winの関係を保つことができます。
具体的であればあるほど良いでしょう。
例えば、
- 仕事で他部署に掛け合ってほしいことがあるけど、自分はあまりコネクションがないからできる人に代わってほしい
- 主婦の家事を手伝う分、一人の時間を確保したい
具体的に提示すれば、受け取る方も分かりやすいので、快く引き受けやすいです。
加えて相手は何かを頼んでいますから、それに応えたいという気持ちもあるはずです。
もちろん中には、それを拒んでしまう相手もいます。
たまたまであれば良いのですが、自分の頼み事だけしてこちらの依頼は断る相手というのは、関係を断ち切るべきでしょう。
そういう自己中心的な相手は自分の経験上、数少ないですが、距離をおくべきです。
関係を継続するほど搾取されてしまいます。
この方法は、相手の信頼性を測るバロメータにもなるのでおすすめです。
自己犠牲に陥らないためにも、「相談したい」「話を聞いてもらいたい」ぐらいの問題でも良いですから、他人にうまく頼っていける仕組みを作ると良いでしょう。
最後に:他者貢献のために「今は自分優先」と考えて良い
自身の健康を守ることで、将来誰かのために行動できるようになれると思います。
心身を病んでしまうと、当然自分のことだけで精一杯に。
自分も心当たりがありますが、他人に優しくできる余裕などなくなってしまいます。
そうならないためにも、「自分を守ることは義務である」と考えれば、取り組みやすいですよね。
参考リンク
*1) パーソル総合研究所 はたらく人の幸福学プロジェクト
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/well-being/
*2) 【功利主義とは】義務論との違いやベンサム~現代の理論までわかりやすく解説
https://liberal-arts-guide.com/utilitarianism
コメント